雅楽代 風花 (新潟県)

日本酒

醸造元:天領杯酒造株式会社

 最近、日本酒界隈で注目される「天領盃酒造株式会社」は昭和58年(1983年)創業、新潟県佐渡市に蔵を構える若い酒蔵である。蔵の歩みは、佐渡島の豊かな自然と水に寄り添いながら、地域の米を活かした酒造りを志したことに始まる。佐渡最高峰・金北山の雪解け水が40年かけて地中を巡り、柔らかな軟水として湧き出すこの土地は、古くから米作りと発酵文化が根付いた“酒造りの島”として知られてきた。2018年には、当時24歳の加登仙一氏がM&Aによって蔵を継承し、全国最年少の蔵元として大きな注目を集めた。経営難にあった蔵を短期間で立て直し、設備投資やブランド刷新を進めるなど、若い感性と行動力によって天領盃酒造は新たな局面を迎えることとなった。この改革期に誕生したのが、現在の看板ブランド「雅楽代(うたしろ)」である。
天領盃酒造の酒造りの特徴は、佐渡産米の積極的な採用と、全量自社精米による徹底した品質管理にある。使用する米の9割以上を佐渡産とし、契約農家とともに一本〆や越淡麗といった希少米を育て、米の個性を最大限に引き出す姿勢を貫く。また、最新設備を導入しながらも、麹づくりや発酵管理には丁寧な手仕事を重ね、透明感と旨味の両立を目指す酒質は、従来の“新潟淡麗”とは一線を画す現代的なスタイルとして注目を集めている。代表銘柄「雅楽代」は、軽やかさと芯のある旨味を併せ持つ酒質で人気を博し、佐渡の自然をモチーフにしたラベルデザインも特徴である。若い蔵元による新しい挑戦が形となったシリーズと言える。
今回は、佐渡産一本〆を使用した冬季限定の活性にごり酒「雅楽代 風花(かざはな)」を購入した。“風花”とは、風に舞う雪を意味する大和言葉で、微発泡のガス感とにごりの柔らかさを併せ持つこの酒にふさわしい名称である。一本〆を用いた原酒でありながらアルコール度数は13.5%と軽やかで、開栓とともにきめ細かな泡が立ち上がる。
モモやラ・フランスを思わせる穏やかな香りに、にごり由来の優しい甘みと柑橘系の酸が寄り添い、全体を心地よく引き締める。米の旨味とほのかな乳酸香がやわらかく味蕾を包み込んだのち、後味には優雅で控えめな苦みが趣のある余韻を残す。活性にごりならではのフレッシュさと、佐渡の米がもたらす柔らかな旨味が調和した、冬の情景をそのまま瓶に閉じ込めたような一本である。
発泡性のガスを含んでいるため、よく冷やし、慎重に開栓する必要がある。
リピート度87%

【独自判定】
香り:4
甘味:4
酸味:5
渋味:4
コク:4
乳酸:4

購入先:吉祥 西武東戸塚店
価格:¥2,200

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