醸造元:熊澤酒造株式会社


熊澤酒造は 明治5年(1872年)創業、神奈川県茅ヶ崎市に根を張る湘南唯一の酒蔵。150年の蔵の歴史は平坦ではなく幾度も危機に見舞われ、それを乗り越えてきた。特に高度経済成長期以降、開発による汚水の流入と水田の減少、安価な酒を大量に造る地域酒屋の下請化により独自性を失い廃業の危機に瀕していた。
そんな中、1995年に24歳の若さで6代目・熊澤茂吉氏が蔵を継ぎ、従来の酒造りをすべてやめ、「地域の人に愛され、誇りとなる食中酒を造る」という理念を軸に、地元の若者を杜氏として起用し育て、5年をかけて新ブランド「天青」が誕生した。
その間、酒造りが落ち着く夏にはビール醸造にも挑戦し、かつての「冬は酒造り、夏は米作り」というライフサイクルを、「冬は酒造り、夏はビール造り」へと転換し、蔵を立て直していった。実は神奈川県民とっては、「湘南ビール」の銘柄のほうが馴染みが深い。現在では、水田の復活や飲食店展開による食文化としての地域の活性化に取り組んでいる。
天青ブランドのコンセプトは、“雨過天青雲破処” の言葉に由来する、すずやかで、澄み渡るような酒質 を目指している。今回購入した「天青 純米吟醸 酒未来」は、十四代の高木酒造が開発した希少米を60%まで磨き、天青のコンセプトを基づき醸し出されている。
その味わいは、青リンゴやプラム・レモンを思わせる爽やかな吟醸香に、心地よい甘さと強めの酸味が爽快な第一印象を与える。透き通るような透明感の中に柔らかな旨味が静かに広がり、ミネラル感を含んだ苦味が涼やかな余韻を残しながら爽快に切れ上がる。まさに銘柄の「天青」を思わせる清々しい味わい。
現代的な辛口の酒質のため、単品で飲むよりも食中酒として真価を発揮する。脂の乗った魚や肉、青魚の生臭さをすっきりと洗い流してくれる。神奈川の特産品である高座豚や、相模湾の海の幸と合わせて楽しみたい一本である。
リピート度85%
【独自判定】
香り:4
甘味:4
酸味:5
苦味:5
コク:4
乳酸:3
購入先:利田屋酒店
価格:¥2,420


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