醸造元:株式会社 西田酒造店


西田酒造店は青森市で唯一の酒蔵で、1878年(明治11年)に創業した。創業以来「日本酒の原点に帰る」という理念を掲げ、三増酒が全盛だった時代にあっても、頑なに良質な酒のみを造り続けてきた。1982年には「田酒」が雑誌『特選街』のコンテストで日本一に選ばれ、全国的な名声を確立した。2003年以降は、活性炭ろ過の廃止、瓶火入れの自動化、冷蔵庫による瓶貯蔵、精米工場の新設など、伝統と革新を両立させる設備投資を継続している。現在の社長は、もともと原子力関係の仕事に従事していたという異色の経歴を持つ。代表銘柄には、創業以来の「喜久泉」とその高級版「善知鳥(うとう)」、1974年にラインナップに加わった純米酒のみの「田酒」、若い蔵人による新たな試み「外ヶ濱」がある。
今回は夏季限定商品の「田酒 Micro Bubble 生」を購入してみた。
使用米は華吹雪で、麹米は50%、掛米は55%まで磨いている。製麹には白麹を用いており、白麹はクエン酸を生成することが特徴だ。この純米吟醸酒は瓶内発酵ではなく、耐圧タンク内で炭酸ガスを2週間ほど溶かし込む工程によって、きめ細かな泡を実現している。
その味わいは、搾りたてのレモンを思わせるフレッシュな果実香が広がり、濃いめの甘さを強めの炭酸によって際立つ酸味が中和し、爽やかな第一印象をもたらす。一瞬、スパークリングワインを飲んでいるような錯覚を覚えるが、細やかな泡の奥には米の存在感を感じさせるコクが膨らみ、シャープな苦みが美しい余韻を与えながらフィニッシュする。スパークリングでありながら田酒特有のバランス感は健在で、これまで飲んできた田酒に共通する上品さが、ここでもしっかりと感じられた。
アルコール分15度でありながら、強めの炭酸と濃いめの心地よい後味のおかげで杯が進んでしまうため、飲みすぎには注意したい。今回は土用の丑の日にちなみウナギの蒲焼と合わせたが、鰻の濃厚なコクを田酒の爽やかな香りと細かな炭酸の泡が包み込み、素晴らしいマリアージュを楽しむことができた。
リピート度89%
【独自判定】
香り:4
甘味:5
酸味:5
苦味:5
コク:4
乳酸:4
購入先:升新商店
価格:¥2,805


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