醸造元:油長酒造株式会社


はじめて「風の森」を飲んだ時の感動は、今でも鮮明に記憶に残っている。
その「風の森」を醸す油長酒造は、1719年(享保4年)に奈良県御所市で創業した老舗の酒蔵であり、伝統に安住することなく、意欲的な挑戦とともに多彩な銘柄を世に送り出してきた。
その挑戦の象徴が「風の森 ALPHAシリーズ」である。
同シリーズは、日本最古の酒母「菩提もと」(生米を浸けて乳酸発酵させた「そやし水」を用いる独自技法)を現代醸造と融合させた革新的な取り組みだ。
油長酒造は1996年に「奈良県菩提酛による清酒製造研究会」を立ち上げ、正暦寺とともにこの技法を復活させ、現在も毎年寺で酒母を仕込む文化的事業を続けている。
今回購入した 「風の森 ALPHA9」 は、蔵内のオーク樽熟成庫で10年以上熟成させた自社製造の米焼酎「火の鳥」の原酒を醪に加えるという、伝統技法の再現をテーマとした一本である。
バニラを思わせる芳醇な香りと滑らかなテクスチャが特徴で、麹米・掛米には奈良県御杖産の露葉風を100%使用している。
その味わいは、完熟した桃やバナナを思わせる芳醇な吟醸香の中に、糖蜜のような濃密な甘さが広がり、微炭酸を含んだ力強い酸味が味蕾を鮮やかに刺激する。
ほどなくして、乳酸香に包まれた米の優しい旨味がふわりと広がり、程よい苦味がわずかにバニラの余韻を残しながら、口内の宴を静かに幕引いてゆく。
日本古来の伝統技法が現代に蘇り、これほどの酒を生み出したことに深い感動を覚えながら杯を重ねた。
甘味がしっかりしているため、甘辛い味付けの料理との相性が良い。
タレの焼き鳥や金目鯛の煮つけなど、濃いめの味付けにも負けない力強い美味しさを発揮し、思わず感嘆する。
リピート度91%
【独自判定】
香り:5
甘味:5
酸味:5
渋味:4
コク:4
乳酸:5
購入先:和田音吉商店
価格:¥2,090


コメント