醸造元:上川大雪酒造株式会社


上川大雪酒造株式会社は、2017年(平成29年)創業。休眠していた三重県の酒蔵から酒造免許を譲り受け、上川町に移転するという珍しい形での誕生は、業界内外から大きな注目を浴びた。廃業寸前の酒蔵を“地域の資源”として再生させるという挑戦は、北海道の酒造史においても稀有な試みであり、創業当初から全国の酒好きの関心を集めてきた。大雪山系の極めて清冽な伏流水、北海道産酒米へのこだわり、小仕込みによる丁寧な醸造を軸に、土地の個性を真っ直ぐに表現する酒造りを続けている。
現在では、上川町の「緑丘蔵」、帯広畜産大学構内の「碧雲蔵」、函館の「五稜乃蔵」と、道内に三つの酒蔵を構えるまでに成長した。いずれの蔵も“地域とともにある酒造り”を理念に掲げ、北海道の風土を映す酒を生み出し続けている。
今回購入した「上川大雪 純米吟醸」は、北海道を代表する酒米「吟風」を50%まで磨き上げて醸した一本だ。「吟風」は心白が大きく麹が食い込みやすい一方で、柔らかな旨味とふくらみのある甘味を引き出しやすい酒米として知られる。華やかさと米の厚みを両立させることができるため、吟醸造りとの相性が非常に良い。
その味わいは、白葡萄や青リンゴを思わせる爽やかな吟醸香が口内に広がり、甘美な甘さに鮮烈な酸味が絶妙なバランスをもたらす。「吟風」由来の透明感のある旨味が心地よく滲み出し、続いて程よく調律された苦みが上品な余韻を残しながら綺麗に切れ上がる。大雪山の伏流水を思わせる清らかな後味で、吟風の柔らかさと上川大雪の醸造哲学が見事に調和し、飲み飽きしない構造を備えている。
ブログを見返すと、2023年にも同じ一本を飲んでいるが、今年はさらに完成度が高まったように感じる。基本的にはどんな料理にも寄り添う懐の深さを持つが、やはり白身魚の刺身、鶏肉の塩焼き、山菜の天ぷらなど、調味料を控えめにした“素材の味を楽しむ料理”と合わせると、酒の透明感が一層際立つ。
リピート度87%
【独自判定】
香り:4
甘味:4
酸味:5
渋味:4
コク:3
乳酸:4
購入先:吉祥 西武東戸塚店
価格:¥2,500



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