醸造元:合資会社 寒菊銘醸


九十九里浜近くの自然豊かな地に、1883年(明治16年)に創業した寒菊銘醸。冬に凛と咲く小さな菊にちなみ、「小粒でも一徹に、末永く良い酒を造る」という想いが社名に込められている。全量純米・全量無濾過原酒を掲げ、米の旨味とフレッシュな酒質を大切にした造りが特徴だ。杜氏の柳下祐亮氏は、元航空整備士という異色の経歴を持つ。
今回購入したのは、同倉の実験的な挑戦酒「Occasionalシリーズ」の「電照菊 純米大吟醸 山田錦50 無濾過生原酒」。ちなみに「電照菊」とは、秋に咲く菊の開花時期を人工照明で調整する栽培方法のこと。ラベルはその光をイメージしており、「秋の夜長を、電照菊の光のように照らす存在になりたい」という蔵元の想いが込められている。
その味わいは、パイナップルなど南国系フルーツを思わせる華やかな吟醸香が口中いっぱいに広がり、嫌味のない甘露な甘さに、爽やかな風を思わせる酸味が舌の上を駆け抜ける。山田錦らしい雑味のないコクがじんわりと染み入り、最後にアクセントとなる苦みが、綺麗な喉越しと余韻を残しながら静かに消えていく。飲むたびに心が癒されていく──そんな、美しい酒だった。
リピート度88%
【独自判定】
香り:5
甘味:5
酸味:5
苦味:3
コク:4
乳酸:3
購入先:升新商店
価格:¥2,090



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